ALSの診断方法について
ALSの診断方法について教えていただけますと幸いです。
一般的に、感覚神経に障害がなく、針筋電図検査ではっきりとしたALSの兆候が認められれば、ALSと診断されるのでしょうか。針筋電図検査ではっきりとしたALSの兆候が認められれば、類似の疾患との鑑別は必要なくなるのでしょうか。
針筋電図はALS診断において非常に重要な役割を果たし、特に下位運動ニューロン障害の客観的証拠を提供しますが、それだけで確定診断とするのではなく、臨床症状、経過観察、他の検査結果を総合して診断されます。
針筋電図だけでは確定診断はできないと思います。筋力低下や筋萎縮の有無等、総合的に評価したうえで、ALSかどうか判断することになります。
ALSの診断は、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失ことを確認し、他の鑑別診断を全て否定することにより確定します。
ご指摘の針筋電図検査は、上述の要件のうち二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)の障害を証明するものですので、これだけでは確定診断になりません。
診断の要件の具体的な記載は以下です。
1.1つ以上の領域に上位運動ニューロン徴候を認め、かつ2つ以上の領域に下位運動ニューロン症
候がある。
2.SOD1 遺伝子変異など既知の家族性筋萎縮性側索硬化症に関与する遺伝子異常があり、身体の1
領域以上に上位及び下位運動ニューロン徴候がある。
鑑別診断は以下です。
①脳幹・脊髄疾患:腫瘍、多発性硬化症、頸椎症、後縦靱帯骨化症など
②末梢神経疾患:多巣性運動ニューロパチー、遺伝性ニューロパチーなど
③筋疾患:筋ジストロフィー、多発性筋炎、封入体筋炎など
④下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:脊髄性進行性筋萎縮症など
⑤上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患:原発性側索硬化症など
御参考になさって下さい。